京都府乙訓郡大山崎町大山崎銭原
平成21年(2009)8月
修理前
宝積寺境内の九重層塔(仁治2年=1241造立)は阪神淡路大震災を契機に傾斜がひどくなり、倒壊寸前の状況でした。町教委と宝積寺の依頼に基づき、山川がその解体修理(指導・設計)を担当することとなりました。

解体・移動

解体作業の後、各部材は実測・採拓(いずれも手測り・手拓)をおこないました。


欠損部分の補完
欠損部分は同質の石材(白色系の花崗岩)で補いました。また、近世の後補部材(軸部)のうち、バランスの悪いものは排除し、厳密な逓減率の計算値に基づいて部材を新造しました。

耐震性
欠損部の補完により、層塔は本来のバランスと美観を取り戻しています。なお、本工事では免震材は用いていませんが、上記のバランスの復元はもとより、枘を補強したこと、また各部材の接合部にノミで調整を加えてガタを取ったことにより、耐震性を強化しています。


組み上げ・修理後
現地の基礎をクレーンで持ち上げ、下の地盤をならして平坦面を出し、基礎も据えなおした。

